2018年1月3日水曜日

コンビニ「24時間」の灯を守る留学生、人手不足で過酷労働…法定時間オーバーの可能性も

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171230-00007209-bengocom-soci
2017/12/30(土) 、ヤフーニュースより

年末年始も含め、365日、24時間営業を続けるコンビニ。日本フランチャイズチェーン協会によると、店舗数は2017年11月現在で5万5374軒、5年前と比べても約8500軒増えた(18%増)。だが、少子化などの影響もあって、思うようにスタッフを確保できていないようだ。

「都市部では、ケーキやおでんを自腹で買い取る『自爆営業』や試験前も休めない『ブラックバイト』のイメージから、日本人学生のなり手が少なくなっているようです」と語るのは、コンビニ問題にくわしいジャーナリストの古川琢也氏。

穴を埋めているのが、留学生を中心とする外国人スタッフだ。大手3社によると、全スタッフの5%ほどで、4~5万人ほどいるとされる。特に都内では大きな戦力になっており、深夜帯は外国人の方が多いという店舗も珍しくない。50代のあるコンビニオーナーは「留学生なしの営業は考えられない」と言い切る。

しかし、留学生が働けるのは入管法で原則、週28時間までと決められている。違反すれば、本人が退去強制処分になったり、事業者に罰則が課せられたりする可能性もあるが、人手不足ゆえに、規制を超えるオーバーワーク(不法就労)の受け皿の1つになっている面もあるようだ。

●10店舗、深夜のチェックだけでも複数人にオーバーワークの疑い

弁護士ドットコムニュースは、12月18~24日の1週間、都心のある駅前で大手3社のコンビニ10店舗を深夜と早朝の2回巡回し、買い物ついでに深夜シフト(午後10時~午前8時)で働く外国人を数えてみた。

たとえば、クリスマスイブの夜は合計20人以上のスタッフが深夜シフトで勤務。そのうち13人は外国人で、ほとんどが留学生だった。日本人も若い人は少なく、店長や中年の店員が多く見受けられた。

このように1週間分調べたところ、深夜シフトで働く外国人は、1週間で約30人ほど。ネパール人と中国人が多く、ベトナム人もいた。

このうち、少なくとも3人の留学生が4日以上勤務。休憩を1時間とすると、深夜シフトの労働時間9時間×4日で36時間。週28時間の制限をオーバーしている可能性がある。また、週3回勤務(9時間×3日=週27時間)の人は9人。ほかのアルバイトを掛け持ちしているという人もいた。

留学生が週28時間をオーバーした場合、入管法の規定で退去強制処分などになる可能性もある。一方で、法務省入国管理局は、「わずかな超過で摘発するのは困難。仕事の掛け持ちも捕捉は難しい」と話す。2016年の留学生による違反件数は1010件だったが、氷山の一角と見られ、頭を悩ませている。

●日本の人手不足を補い、稼いだお金を日本の教育機関に納める留学生

オーバーワークをしてしまうのは、週28時間では1か月12万円(時給1000円と仮定)程度にしかならないからだ。これでは留学するときにつくった借金も学費も生活費も払えない。

出稼ぎ目的の「偽装留学生」はもちろんだが、勉強する気がある留学生も週28時間の枠内で収入を最大化するため、割増賃金がつく夜勤を取り入れたり、そもそも無視して働いたりする必要が出てくる。

一方、オーナーとしても、「ドミナント戦略」(近隣に同系列のコンビニをたてること)などでコンビニが密集し、売り上げだけでなく、労働力の確保も難しくなっている。多少のことには目をつぶって留学生を使わなければ、自身が接客のため店舗に立ち続けなくてはならない。

クリスマスの朝、前日の午後10時から勤務していたネパール人の男子留学生は、「今から学校。夜はまたコンビニ。眠い」と苦笑い。大学で理系科目を学んでいるというネパール人女子留学生は「学校とバイトばかり。あんまり寝ていない」ーー。

政府は2008年に「留学生30万人計画」を発表。留学生はこの5年で10万人以上増えている。しかし、間口は広げたものの、十分なサポートはない。

一方、NHKの報道によると、この5年間だけで200校以上の日本語学校が新設されたという。留学生が日本の人手不足を補い、稼いだお金で日本の教育機関にお金を払う。学費のために、必死にバイトで働き、疲弊していくという意味では、コンビニで働く留学生に限らず、日本人学生のブラックバイト・奨学金問題と似たような構図があちこちで見え隠れしている。

●「労働力」と捉えて真っ向から議論を

コンビニ業界では、年明けにも業界団体「日本フランチャイズチェーン協会」が、外国人技能実習制度の対象にコンビニを加えるよう申請する見通し。日本の小売システムの理解者を増やし、コンビニの海外展開の土壌を整えるという。

同協会は「人手不足対策ではない」と頑なに否定。申請が認められた場合、「受け入れは慎重に、少人数にする予定だ」という。確かに、日本ではコンビニが飽和しつつあり、海外展開を睨むのは理解できる。しかし、外国人技能実習制度は、他の業種で実質的に人手不足対策として使われ、過酷な労働環境が発生してきた。コンビニについても、「人手不足対策ではないか」との批判が根深い。

留学生にしても、実習生にしてもこれまで建前ばかりが語られ、問題行為が放置されてきた経緯がある。人手不足は経済を衰退させる。そうであれば、新しい外国人労働者の受け入れ制度を速やかに検討すべきではないだろうか(弁護士ドットコムニュース・園田昌也)。

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